決まった体の動かし方をするのが好き。例えば玄関でシューズを履くときであっても。

決まった体の動かし方をするのが好き。例えば玄関でシューズを履くときであっても。

決まったパターンで、毎日を過ごすのは好きですが、さらに決まった体の動きをするのも好きですね。「決まった体の動き」というのはわかりにくいですが、たとえば散歩に出るためにシューズを履く動きについて考えてみましょう。

玄関に出て、靴べらをとって、シューズを履いて靴べらで足をシューズの中に入れる、そして靴べらをもとのところに戻す。大体そんな流れになるわけですが、その一つ一つの動作を自分がどこに立ってどういう手や足の動きをするかというのを毎回注意深く修正しています。

それはあたかも、ダンスを踊っているのに似てるかもしれません。

もちろん、できるだけスムーズに、ドタバタバタバタすることなく、1連の動作をするように最適化を試みるのです。

自分としてはまだ満足がいく「シューズの履き方」は発見できていません。でも、毎日、シューズを履いて散歩に出る前には、その時点での最適な動きに近くなるように練習をしています。

それの何が楽しいかを説明するのはなかなか難しいですが、次第に、何も考えなくても、最適な動きをするようになることを期待してやっているわけです。

実は、シューズを履く前後にも、こういった1連の動きがあります。たとえば、帽子をかぶるとか、ポケットに財布を入れるとか。それらももちろん、自分の中で最適な手順になるように日々細かい修正をしているものです。

これをやっていると、大変忘れものが少なくなります。それはそうですよね。

特に良いのは、何か考えことをしながら出かける用意をしているときに、いくら考えことをしていても、忘れものがほとんどなくなるという点です。何を持っていくか、何をどのポケットに入れるかなどが決まっていますから、感覚的にそういう状態になっていないと気持ちが悪いのです。

それぞれのポケットに何が入っているかをチェックする手順も決まっています。軽くポケットを叩いたりして、そこに必要なものが入っているかどうかを感触で確かめるわけです。

ここまでの話を聞くと、もしかしたらずいぶん神経質そうだなと感じられるかもしれません。そういう点があるのは否定できませんけれど、自分としてはそれほど厳格にならないように注意しています。出かける前にシューズを履く練習を何十回も繰り返すわけではありません。せいぜい2回止まり。

日によっては、壁に靴べらを当ててしまったり、シューズが転がったりする場合があります。それは好ましくないので、今回ぶつかったのはなぜかなと考えて、次回には立つ位置を変えてみようかなどと思います。そういうちょっとした「インクリメンタルな改善」が私としては楽しいですね。

以前ノートにも書いたことがありますが、パズルゲームを解くときに私がやっていることととても似ています。つまり、自分の中で仮説を立てて、こういう解き方をしたらいいんじゃないかとアルゴリズムを組み立てて、それを自分が実行することによって仮説を検証する。もしもそれでうまくいかなくなったら、アルゴリズムを修正して、再び自分にインストールする。そのようなゲームを解く自分を動かすゲームをやるみたいな話です。

先ほどから話している、シューズを履く話も、それにとてもよく似ています。

そういえばVimを使うときの楽しみも、それに似ているかもしれませんね。自分が何かを編集しているときにどうも引っかかる何かがあったり、いつも同じことを繰り返していると感じる。何かあったら、それをほんの少し最適化できないかなと考える。そういう話です。

そんなふうに生活していると、毎日の様々な事(特に細かいこと)が、まるでゲームをやってるみたいに楽しいですね。

こういう話が共感してもらえるかどうかはよくわかりませんけれど、お話ししてみました。でもきっと同じようなことやってる人は絶対いると思うんだよな。

2023-07-16 05:03:54 +0900

この文章は、音声入力を利用して結城浩のマストドンに投稿したものです。

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結城浩(ゆうき・ひろし) @hyuki


『数学ガール』作者。 結城メルマガWeb連載を毎週書いてます。 文章書きとプログラミングが好きなクリスチャン。2014年日本数学会出版賞受賞。

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